イノベーションの意味

組織は多様である。その構造、事業、性格、組織、哲学も多様である。だがイノベーションを行う組織には共通の特徴がある。
1: イノベーションの意味を知っている
(略)
イノベーションの意味
イノベーションとは、科学や技術そのものではなく価値である。組織の中ではなく、外にもたらす変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への影響である。したがって、イノベーションは常に市場に焦点を合わせなければならない。市場ではなく製品に焦点を合わせたイノベーションは、新規な技術は生むかも知れないが、結果は失望すべきものとなる。

P・F・ドラッカー著 上田惇生編訳 マネジメント - 基本と原則 [エッセンシャル版] pp. 266-267

僕の以前のエントリー: レバレッジメモ:イノベーションのジレンマ破壊的イノベーションについて3行で解説に対する反応などを見ていて、「イノベーション=新しい技術的な進歩」と誤解している人が多いなぁと思っていた。技術者の大好きな「市場を気にせずに技術を追求すること」からは、新しい技術は生まれるかも知れないがイノベーションとしての成功はない。

クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」の「技術的な進歩がなくても、性能的に劣る製品でイノベーションが起きうる」という核心を理解できなくて例からの推測に頼る人がいるのも、そもそも「イノベーション=新しい技術的な進歩」っていう誤解をしているからなのかも知れないなー。

イノベーションとは、発明のことではない。技術のみに関するコンセプトでもない。経済に関わることである。

p.18によりダイレクトな説明が書いてあった。新しい製品を開発することはイノベーションに必須ではなく例えば「イヌイットに凍結防止用として冷蔵庫を売る」ってのもイノベーションだ、とも書いてある。書き写すの面倒だからやらないけど。シュンペーターの定義では新規顧客の開拓はイノベーションなのだからこれもそれに該当するんだろうな。

個人的にはこの「テクノロジストの条件」が僕みたいな技術者には面白いんじゃないかと思っているけど、最初からこれを読むと都合のいい読み方をしそうなので我慢している。