6歳児とアブストラクトゲームをしてきた日記

いとこの息子(6歳)とアクエリアス(see: 高円寺0分すごろくや ゲーム紹介:アクエリアス)をやってきた。

昨年の正月にタントリックスを見せて少し遊んで見せたら「色がつながるように置くの?」とすぐに飲み込んだ頭のいい子なのでアクエリアスの基本的な接続ルールはわかるだろうと踏んでいたが、予想以上に理解が速くて面白かった。

アクエリアス自体は、某IQの高い集団に持っていったら「つまらない」「なんでこんなの買ったの」とケチョンケチョンにされたゲームである。何で買ったかというと「6歳以下の子どもと遊ぶときのルール付き」って書いてあったからなんだけど。

しかし結局その6歳児用ルールは読まずにアドリブした。まず接続方法のルールを説明するために全部表にして説明に都合のいいカードを探すじゃない?でつなぎ方を教えたら、当然子どもは自分もやろうとして手に取るじゃない?そこで取り上げて裏向きにして山札を作るとかありえない。というわけで表になった状態から好きなカードを選んでよいルールで適当につなぐのをやった。

今確認したルールブックには勝利条件や手札の枚数などが書かれてるけど、どうせ僕と6歳児の対戦だったら僕が勝って当たり前なので勝敗を決めるルール必要ないんじゃないかなぁ。導入の際には対戦ゲームではなく共同作業ゲームの方がいいのかもしれないね。

  • 一番簡単ルール
    • アクションカードは全部取り除く
    • 全部表にして、正しい接続方法で全部並べる。並べきったら共同勝利
    • 正しい接続方法で並べたらほめる。複数接続が発生したらゲームルール上はボーナスはないけど、言及してほめることでボーナスを与える。

さてそんなこんなで全部のカードを並べ終わったら、彼の父親が入ってきて3人でプレイすることに。じゃあ勝利条件を導入しよう。

  • 簡単対戦ルール
    • アクションカードは取り除かれたまま
    • ゴールドカードをシャッフルしてみんなでひく。公開する。
    • 自分の色を一番長くした人が勝ち。カードを使い切るまでプレイする。

7つまでじゃゲームにならない。コントロールする時間が少なすぎる。というわけでカードを使い切るまでプレイというルールにした。あとゴールが公開なのは、どうせ6歳では自分の色を伸ばすことしか考えないのでバレバレだし、それであれば大人も公開したほうが平等だからだ。

あとからわかったのだけど「自分の色が含まれないカードを置いてよい(かどうか)」に明確に言及する必要があったようだ。解釈揺れが発生した。

2回プレイしてさらに「もう一回する!」と食いついてくるけど、ティータイムになったので一時中断。そのくらいのときにどけておいたアクションカードを見て「これは何に使うの?」と聞かれたので「難しいルールの時に使うんだよ」と言ってしまった。ティータイム後の「難しいルールでやる!」と言われてしまったが…アクションカードはそもそも大人がプレイするときにも取り除いたほうがいいんじゃないかと思っているくらいなので…。というわけで「じゃあ難しいルールでやろう」って言ってアクションカードは無視して山札&手札を導入することにした。

  • 難しめ対戦ルール
    • 手札5枚
    • 手札から1枚置く
    • 接続した種数のカードを貰う

オリジナルルール作った人きっとプログラマじゃないよね。1枚とって、置いて、2種類以上(n)接続したらn - 1枚のボーナスを得る、とかいけてないのでリファクタリングした。

手札が導入されたことで6歳児の置かれている状況が観察できなくなったけど、なんなく自分の色を伸ばしていた。まあ3回プレイした後だから出来るか。終盤、その子が「もう炎(自分の色)がない」とカミングアウト。祖母と父親が自分の色は何なにだよ、と言外に置いて欲しい旨を伝えるが、僕の「ここに水(僕の色)置いてくれたら次のターンで炎置くよ」って交渉にノータイムで反応。実利が分かっているな!まあその交渉を2回やった上で3回目に僕が裏切って炎を置かなかったことにツッコミが来なかったのでそのあたりはまだまだなのかな。交渉に乗ると得であることをその場で判断することはできるが、次のターンにきちんと履行されたかどうかの確認をしないようだ。次のターンまで覚えてないのかな。

で、水もなくなって6歳児12枚対彼の祖母10枚の状況で10の祖母に「空(祖母の色)を置いてほしいな」と言われて置いたので「あ、勝敗分かってないのか」と思ったが、その次のターン「もうひとつ置いてほしいな」って言われたら拒否をしていたので分かっているらしい。父親や僕が空をおこうかな〜って振ると「だめーー」って言っていた。勝敗はわかるが「勝敗に直接つながらない自分の手が、第三者の行う自分に不利な行動と合わさることで敗北につながりうる」って所までは読めないらしい。結局そのあとは他のプレイヤーのプレイを見て学んだのか「相手の色を相手の一番長い列とは違うところに置く」という消極的攻撃をやっていた。

あー、そうそう、自分の色が二箇所に分かれているときにそれをつなげようという行動は観察されたが「つなげるのにとても手数が掛かるし他人が妨害してくると達成できないよな」とか「自分がつなげようとしているますは、別のプレイヤーも必要としていて、しかも相手のほうが先手」とか「残っているカードでは物理的につなげようがない」とかはわからないようだ。あと「つなげるのに失敗する可能性も考えて長い側の列からつなげに行く」という行動が出なくてひやひやした。繋がりそうにないのに短い方を伸ばすんだもの。

あと自分の列の、囲碁で言うところの呼吸点を自分で潰して残り1つにしてしまったので「ここにおいちゃおうかなー」と最後の呼吸点を潰すことを示唆したら、すぐそれが致命的であることを理解して「だめー」って言って、そのつぎの手では一色のカードを呼吸点において延命していた。

などなど、面白いゲームだった。子どもの認知や子供向けアブストラクトゲームの設計について色々知見が得られたように思う。