「仕事を全部アウトソース」は有益か?

ある程度囲碁とか将棋が強い人にはわかってもらいやすいかと思うんだけど、一目見て「その手は筋悪だ」と即答するけども「なぜ筋悪なのか?」と聞かれると即答できないことがある。

ニコニコ超会議id:Yoshioriにされた「会社からの仕事を全部クラウドソーシングに投げたら働かずに稼げるんじゃないの」という質問も同じように、その場で筋悪だとは判断したけども、理由が即答できなかった。「会社のコードを外に出せないでしょ」みたいな微妙な回答になってしまった。

二日寝かせてようやく正しい解答が分かった。


会社から来た仕事を全部クラウドソーシングに投げられるということはどういうことか?それはつまり「自分でなきゃできないこと」も「社員でなきゃできないこと」も仕事にできていない状況だ。海の向こうの見知らぬ人でも出来るような「誰でも出来る作業」しか任されてないってことだ。自分がクラウドソーシングを知っていて、会社がそれを知らない間は、その知識ギャップを生かして「働かないで稼ぐ」ってことも可能だと思う。しかしその状況は会社がクラウドソーシングを知った時点で終る。その状況は勝ちじゃない、むしろかなり負けに近い。オセロ終盤で「角は取れてないけど、辺は全部とったもんね!今のところ俺の色の方が3倍多いもんね!」って言ってるような状況だ。

アウトソース出来るものは積極的にアウトソースした方がいい、というセリフには裏の意味がある。何もかもアウトソース出来るということは、同じ金額を払うことの出来る競合に対して勝てる要素が全くないということだ。アウトソースできない部分が競争力の源泉だ。何がアウトソースできないか、これこそが一番大切な自分が伸ばすべき能力だ。「すべてをアウトソース」は目指すべきゴールではない。その状況を目指すのは明らかに筋悪な手だ。

(あと経験したこと無いのでまったく根拠のない主観なんだけど「上から降ってきた仕事を下請けに投げるだけのお仕事」って楽しくなさげ…)