フェルミ推定とアスペルガー症候群の関連を主張する人がいるがかなり酷い

就職面接で行われるフェルミ推定アスペルガー症候群の人を選ぶためのものであるという主張をしている人がいた。看過できないので反論しておく。

http://anond.hatelabo.jp/20140128183151


まずここが嘘。

アスペルガー症候群高機能自閉症、PDD)は、まさに先天的な前頭葉の機能障害により発症するものと考えられており

科学的にはまだ「諸説あって決着がついていない」という状況だ。ちなみにこのスライドの前半で解説しているので興味があれば見ると良い。 http://www.slideshare.net/nishio/ss-27390660


次に「前頭葉に機能障害を持つ被験者は、異常な推測値を挙げる傾向にある」から、異常な値を答えた人を採用することでアスペルガー症候群の人を選ぶことができる、という点について。

大雑把な見積もりをする能力はプログラマが仕事をする上でも重要。「1日〜回使われるとして1回あたり〜msぐらいだからこのアルゴリズムでも十分だなorもっと高速化が必要だな」という判断が必要なフェーズで見当違いな値をはじき出されると困る。「有能なプログラマである可能性がある」程度では覆せない。なので「異常値を出す人を積極的に雇おうとしている」と考えることには無理がある。


まとめ。フェルミ推定アスペルガー症候群とは無関係だし、異常値を出す人を積極的に雇う理由がない。


追記:どこが酷いのかわかりにくいと言われたので一言で言うと「彼の主張の根拠である『前頭葉が原因』のソースが不明なところ」だ。僕は紡錘状回や下側頭回(これらは側頭葉にある)の活動に差があるという論文へのポインタを示したわけだけど、彼がなぜそれらの論文を無視して前頭葉だけが原因だと主張しているのか、そしてそれは何らかの信頼できる実験結果に基づいたものなのか、ソースが示されていない。もしかすると彼の脳内論文がソースなのではないかと疑っている。