運でどれくらい勝てるのか

最近の最中限オンラインのハイスコアによって「最中限がじゃんけんのような運だけのゲームではないことが証明された」と思っていたのだけど、確率論に詳しくない人はピンと来ないんだと気づいたので、60回勝負して36点っていう得点がどれくらい「運ではない」のかを計算してみよう。

最中限の最終的なスコアは、おおざっぱに言うと「勝つと2点、負けると-1点」という仕組みで計算される。実際には引き分けの人がいるときの処理があるけど、それは確率が小さいので今回は話を簡単にするために目をつぶろう。

1/3の確率で+2点、2/3の確率で-1点、なので得点の平均は2 * 1/3 + (-1) * 2/3 = 0点になる。でも、60回戦って36点を獲得している僕の成績が運なのか実力なのかを知るためには平均が0という情報だけでは足りない。運だけでどれくらい点がばらつくのかがわからないといけない。それを知るためには「分散」の情報が必要だ。分散は「『平均との差の二乗』の平均」なのだけど、今回は平均が0なので単純に「『二乗』の平均」でいい。2 * 2 * 1/3 + (-1 * -1) * 2/3 = 2になる。

1回の勝負で2の分散があるとき、2回の勝負の合計の分散は2 + 2で4になる。
計算してみよう。両方勝つ確率: 1/9, 両方負ける確率: 4/9, 片方勝つ確率は残りだから4/9。4 * 4 1/9 + (-2 * -2) * 4/9 + 1 * 1 * 4/9 = (16 + 16 + 4) / 9 = 4。ほら4になった。(実例じゃ満足できない人は一般の分布について証明すること)
というわけで分散2のゲームを60回やると、合計点の分散は120になる。

さて、点数の分布が分散120の時、運だけで36点取るのはどれくらい難しいのか?それを計算するために点数の分布を正規分布で近似する。分布が正規分布のときは、標準偏差(分散の平方根)の何倍離れているとどれくらい起こりにくいのかがわかるからね。あと同じ分布をいくつも足し合わせた分布は正規分布に近づくことが知られている。

標準偏差(SD)は120の平方根。10.95。36点をこれで割ると3.29になる。正規分布表(たとえば付表:正規分布表 normal distribution)の3.29の欄を見ると0.9995と書かれている。つまり、運だけで60回プレイしたときに36点以下の点数になる確率が0.9995。逆に言うと運だけで36点より大きくなる確率は0.0005ということ。

正規分布標準偏差の3倍以上平均から離れるのがだいたい「千に三つ」の確率だと思うといい。8回プレイなら12点がそのライン。32回なら24点がそのラインになる。

まとめ:運ではこんなに点数取れないよ!
次回予告:どうすれば点が取れるようになるかの解説を書きたい。