絵の設計

数学的に絵を作るというのがどういうことか、ということって説明しにくい。「考えて作ってるの?」とか言われる。でも特に数学は抽象的だから同じ知識を持っていない人にどう考えて作ったかを説明するのは難しい。で、ゲノム情報から絵を作る話ならもうちょっと具体的だから説明しやすいかもしれない。試してみよう。

ゲノム情報から絵を作るとする。まあ、例えば男性が男性であることを決定づけているY染色体か、SRY遺伝子のデータを使うことにしよう。このデータを2次元画像に変換する方法は無限に存在する。男性が男性であるとはどういうことか、ここで男性性を感じさせる配色なり配置なりを考えるというのももちろん創作の選択肢としてはありだし、「いやそういうものは飾りにすぎない、男性が男性であることを決定づけているのは無機質な一連の情報にすぎない」という表現の方向性だってありだ。僕はどちらかと言うと後者を選ぶかな。白黒で表現すると1塩基の情報量は2bitになる。で、ゲノムデータをそのまま表示しても砂嵐にしか見えないだろう。しかし蛋白質をコードしている領域に関しては3塩基単位でアミノ酸をコードしているのだから3個ずつのかたまりに意味があるわけだし、コードしている領域としていない領域で差が出るはずだ。その差が人間の目に認知できる形で認識されないと絵にならないだろうな。割合はどれくらいだろう?調べてみよう。ちょっと試しに書いてみよう。etc.

書いてみて、大雑把にこの方針でいけるなとなったらコードを書く。この過程で大きな問題が発覚して修正したりすることもある。

そういうことを考えてつくっている。書いていて思ったが、これってプレゼンテーションのスライド作りに似ているなぁ。データを集めて自分の主張(ここでは「人の遺伝情報は美しいんだ」)を表現するのに使えるかどうか考え、どうすればそれがわかりやすく可視化(一般のスライドなら円グラフを書いたり棒グラフを書いたり)できるかを考える。