家事と「認識ギャップ」の存在、そしてバックワードチェイニング

nyagai: 我慢出来ない方の負け。。とUさんに教えて貰ったなぁ。。 RT @nontapapa: 逆に男子はやったもん勝ちかも…RT @sauza3: 未婚女子たちへ。いいかー、よく聞け。家事はやったもん負けだからな。

に対して

nishio: 女性が「家事をやったほうが負けだ」とか思って散らかった不愉快な状態にイライラしながら耐えている間、男性のほうは散らかった状態を不愉快と思うどころか快適だと思っている。もちろん男性にもきれい好きな人はいるけど、散らかす男性は基本的に不衛生の耐性が強い。

Tweetしたのだが、これを機会に説明しておこう。

もちろん男性の中にもきれい好きな人はいる。僕には僕のことしかわからない。で、僕みたいな「興味を持ったことには時々ものすごい集中力を発揮する」「でも普段はどっか抜けてる」「そして部屋がちらかっている」という特性を持っている男性は、世の中の平均的な女性に比べるとかなり認知能力に差があると思ったほうがいい。そういうタイプの男性は「興味を持ったこと」「注意が向いていること」以外に関してはビックリするほど鈍感なんだ。

つまりどういうことかというと、あなたが「家事をやったら負けだ」「また散らかしている」「なんで片付けないんだろう」と1日に3回、1ヶ月で100回イライラしている間、男性の側は「ガツン」「ガツン」「ガツン、なんでこんなところに物が落ちてるんだろう。あっちの隅に移動するか。うん片付いたハッピ〜」としか思ってない。黙ってイライラしていてもただ空回りしているだけで、男性の側はそもそも家事の存在に気づいていない。言葉で伝えないと通じない。

もちろん世の中には家事に非協力的な人もいる。家事に協力的かどうかは、その男性の頭の中が他の思考でいっぱいになっていないときに言葉で家事を頼んだ時にやるかどうかで判断できる。「言わなくても自発的に家事をする」なんてことを期待したくなるかもしれないけども、それにはもっと時間を掛けて教育する必要がある。そう簡単に家事を習得できるならもうちょっとマシな一人暮らしをしていたはずだ。

家事を頼んだ時の成果に関しても、言葉で伝えなかったことは伝わらないことのほうが多い。「洗濯物を取り込んで」と言われれば洗濯物を取り込むだろう、気を聞かせてベッドの上に放置しないでクローゼットに掛けるかも知れない。でもタオルを畳んで脱衣所に持っていくところまでは頭が回らない。それで怒ったのでは家事が嫌になるだけ。結果がどうであれ「家事をやった→怒られる」という経験をさせればさせるほど家事が嫌いになり無意識に避けるようになる。そうするとただでさえ低い家事に対する認知能力が下がってしまう。

相手は家事のもろもろのタスクを全く習得していない幼児のようなものなのだから、教育にも同じ手法を使う必要がある。園児服の着方を教えるのに、いきなり服を渡して「なんでまだ着ていないの!」って怒っても習得はできない。まず服を着せてボタンを止めるところだけやらせ、褒める。次に袖を通してボタンを止めるところをやらせて、褒める。と、完成形から前に伸ばしていく教え方をするのがよい。これをバックワード・チェイニングという。新人教育に使っている例もあったのでリンクしておく。NED-WLT : バックワード・チェイニング。詳しい話は下の本に載ってたはず。

追記Tweet

認知ギャップを理解出来ない人のために視点を逆向きにしてみる:「なんでここ値渡ししてるの」「なんで毎回文字列結合するの」「どうしてそういうコードは無駄なメモリ確保でパフォーマンスが劣化するってわかんないの」それは認識ギャップです。そんな責め方をしてもコードは改善されない。

家事の例もプログラミングの例も、自分と他者の間に認識の違いがあって、その結果他者が「自分が好ましいと思う行動」を取らないという現象である。そこに問題があるということ自体を気づいていない人に向かって問題を解決しないことを責めても、何も改善しない。「問題に気付く→問題を解決する」のタスクのチェーンに分解して、まずは問題を解決するところから経験させていくしかない。