ひとりっ子 - グレッグ=イーガン

ディアスポラがいいとおすすめされたのでそれを買うついでに、この短編集も買ってみた。いいねいいねこれ。出てくるキーワードとかが新しい。古いSFの「当時の科学+想像」と比べると最近の科学技術を下敷きにしている分だけ面白い。まあ、面白さってのは主観的なもので人によって感じ方はそれぞれなのだけども、たとえばパロディネタが元ネタを知らない人にとってはちっとも面白くないのと同様に、SFは科学ネタだから元ネタの科学を知らないひとにとっては面白くないのかもしれないね。小説が終わった後に作者からのコメントで「これは小説としてのラフスケッチであり、詳細なモデルに興味がある場合はデネットの『解明される意識』やミンスキーの『心の社会』を参照」とか書いてあったりする。小説を読み進めて57ページもたったところで「ああ!この主人公って『彼』じゃないか!!」と気づいた瞬間の衝撃と言ったら。まあ「彼」が誰かというのはネタバレすぎるので伏せておく。

どの程度の知識があれば面白く感じるのかはわからないけど、少なくとも確実に言えるのは「ゲーデル数って何?多世界解釈って何?初めて聞いたよ」って人はまず間違いなく面白くないに違いない。そんなハードなSF。