締め切りドリブンについての考察

締め切りドリブンになるのは、習慣的にこつこつと作業する能力の低さが原因だと思っていた。がしかし、取捨選択能力の低さがより大きな原因なのではないか?
タスクに優先順位をつけた場合、優先度の高いタスクを実行中に優先度の低いタスクのことを気にしたり、優先度の低いタスクをやるのに必要な時間を残して高いタスクを切り上げたりしてはいけない。優先度をつけた意味がなくなってしまう。
ところが「タスクを捨てる能力」の低い人は往々にして、優先度が低いとわかっているタスクを捨てられず、タスクを溜め込んでいっぱいいっぱいになってしまう。

締め切りのメリットは「あれもしたい、これもしたい、でも間に合わないからあきらめる」という形でタスクが捨てられるところにある。
タスクを思いついたらすぐ着手してしまうようなスタイルではついつい重要ではない脇道に入ってしまうものだが、特に「締め切りまでに最低限あのバグをつぶして、パッケージ印刷して、CD-Rに100枚焼いて、etc.」とゴールが明確な場合には、「あ、こんな機能があると便利だな。でも今はそれどころじゃないからメモだけしておいて後でやろう」となる。


思いついたタスクを即座に実行せずに、いちいちリストに載せて優先度を考えてから実行するのはまどろっこしい。
ノリ乗りで思いついたタスクをどんどんこなして行く過程は、ゲームで次々現れる敵をばっさばっさと倒して行くのに似たスピード感がある。
しかしそれは「データをHDDに書き込むと遅いからやめよう、メモリに書けばいいじゃん」って言っているようなもの。
メモリに書くだけの方が速いのは事実だが、それは停電したら終わりだ。容量も少ない。人間の脳も同じで、中断すると忘れてしまうし、容量が少ない。