アブダクションと帰納の違い

哲学は詳しくないので、帰納(induction)とアブダクションの違いがよくわからなかった。アブダクションは「観測事実X1, X2, ..., Xnが与えられたときに、仮説Hを仮定すればこれらの観測事実が説明できることから、きっとHだろうと結論すること」で、演繹(deduction)は「仮説Hが正しいものと仮定して、まだ観測してないX{n+1}を導くこと」とすればすんなり理解できるのだけども、じゃあ帰納ってなんなの、と。

例えば「箱からキャンディーを1個取り出したらミントで、もう1個取り出したらまたミントだった」という観測事実から「この箱の中にはミントしか入ってない」と考えるのを機能の例としてあげている文章もあるけど、それって「ミントしか入っていない」という仮説を形成しているんだから明らかにアブダクションだよね。じゃあアブダクション帰納を含む概念なのか?

さすがに僕みたいな哲学の素人がちょこっと考えて気付くようなことにアリストテレスがしたとも思いにくいので、この仮説は棄却。

結論することが「この箱の中にはミントしか入ってない」ではなく「もう1個取り出したらやっぱりミントだろう」だとすると、すんなり理解できる。アブダクションで仮説を形成してからその仮説を元に演繹するのと、直接帰納するのとで、入力と出力のデータは同じだから混同しやすいのだけども、前者ではアブダクション言語化された仮説が作られているのに対して後者では言語化された仮説が作られていない。

アリストテレスはこの三角形を理解して3分類を行ったのだが、その後の「アブダクションが忘れ去られた時代」の間にアブダクションと演繹を合わせたものも帰納と呼ばれるようになってしまったのではないか。入力と出力が同じだし、形式知という概念もメジャーではなかったからしかたない。

こういう仮説だとすんなり説明できると思うのですがどうでしょう!>哲学詳しい人