ポモドーロテクニック入門:レバレッジメモ

アジャイルな見積りと計画づくり」を読んでから「アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門」を読みなおしてみたら、色々新たな発見があったのでレバレッジメモを作りなおしてみた。

4章以降は読みなおしてみてもあまり面白くなかったので割愛。

前書き

当初は1日に12ポモドーロくらい出来るだろうと思っていたが、現実的には8ポモドーロがせいぜいだった。

ScrumやXPなどでは「イテレーションあたりどれくらいの仕事を完了させたか」を計測する(ベロシティ)。ポモドーロでは1日に「完了させたポモドーロの数」(=連続して25分間集中できた回数)を計測する。ポモドーロは「集中することに集中する」方法論。

1章: 活動は1度に1つ

一度に複数のことをすることはできない

25分で予定したタスクが終わらなくてもそれは失敗ではない。タイマーの音は25分集中したあなたへの拍手。

複雑だとやる気が減る。複雑なタスクでも25分取り組めば何らかの知見が得られる。着手前に悩むのではなく、25分作業して、それから休憩して、それから次にどうするかを考えればよい。

タスクがつまらない時もやる気が減る。タスクをこなす速度を上げるゲームだと思えばよい。

生産性が高い状態を維持することが重要。持続可能なペースでなければ長距離走を走ることはできない。

完璧主義は行動しない言い訳。最初から100%完璧なものが作れるはずがない。それを目標にしようとしている時点でおかしい。まずは25分実行するという「行動」を実践すること。

2章

先送りはなぜ起きるか。他人にやらされている感。完璧でなきゃというプレッシャー。失敗したり批判を受けたりすることに対する恐怖。

先送りをすると、一時的にこれらのストレスから解放される。これが精神的な報酬になってしまうせいで「先送り」という行動が強化されてしまう。しかしこれは未来から心の安寧を前借りをしているだけ。借りれば借りるほど利息がついて苦しくなる。

ストレスは自分の内部から起こるもの。

先日の「自信がない」は自信の持ちすぎとも絡んでくる話だな。

3章

アクティビティ在庫シートに項目を書く時は(いわゆるTODOリストのように)やるべきことを書くのではなく、作業が完了したらどういう状態になるかを書く。「アジャイルな見積もり」的に言えば「タスクを書くのではなく、それをやることによってユーザに与える価値(ユーザーストーリー)を書く」ということか。

長すぎるTODOリストには意味がない。そこから適切なものを選ぶコストのことを忘れている。

「このプロジェクトは大きくて重要だ」という漠然とした思いではなく、「まずは小さな一歩から」と具体的な行動を。

長い、1日で終わらないTODOリストは、1日頑張ってそのうち数行が消えたとしても「達成感」が得られない。精神的報酬が与えられない。一日の頭に「今日やること」を選ぶことで、完了させた時の達成感が高まる。

自発的コミットメントが達成感を高める。

ゴールを近く明瞭にし、自発的に設定したデッドラインで生産性を上げる。デッドラインは多くの場合、自分ではなく他人が設定したもので、かならずしも都合よいタイミングでは設定されていない。それでも多くの人が「締め切り間際は集中力が高く、生産性も高い」と感じている。だったらその効果を毎日起こせるようにできないか?

仮想的な「Nowリスト」をイメージする。これは1項目しか書くことのできないTODOリスト。僕が付箋に1つだけタスクを書いているのはこれに相当するんだな。付箋が1つの時はとても快適だし、増えてくると混乱する。複数になったら「最優先」以外は一度見えなくしたほうがいいか。

最良の休憩は5分間のうたた寝

25分の途中で作業が終わってしまった場合にどうするか。この本では「やったことを見直す」「学んだことを繰り返す」「仕事を改善できないか考える」「結論を紙にメモする」などを挙げているが、どうだろう。3分とかならそれも可能な気がするが、実感としては終わることを15分とかで終わってしまった場合、何をしたらいいか当惑して生産性の高い時間を過ごせない。この場合はポモドーロを「見積もりミスで早く終わりすぎた」とでもして失敗マークにした方が良いのではないだろうか。

何をトラッキングするかは何を知りたいかによって決まる。

休憩時間の長さ

このエントリーを書いてから、他の人がポモドーロについてどう書いているかぐぐってみたところ「休憩時間は5分」という誤解が広まっているように思えたので、P.152の「休憩時間の長さ」から引用しておく。

休憩時間もタイムボックス化するべきでしょうか?ずるずると休みが長引くのを防ぐことができるでしょうか?答えはノーです。次のポモドーロを開始する時には、精神的に準備ができていなければならないからです。

休憩時間を「5分」と決めて、時間が来たら準備ができていなくても次の作業を始めてしまうようなやりかたで消耗しきってしまう前に、それで「持続可能なペース」で「生産性の高い状態を維持する」が実現できるのかどうか自問してみるといいだろう。冒頭で書かれているように「1日にせいぜい8ポモドーロが現実的」なのだから。

これはレバレッジメモなのでここに書かれていることの全部がポモドーロ本に書いてあるというわけではなく、読んで僕の脳が関連情報として引っ張りだしてきたものも含まれている。心の安寧とか、ストレスは自分が作るもの、というあたりは初期の仏教(考えない練習とか)からで、先送りという挙動が強化される云々は行動分析学(はじめての応用行動分析 日本語版が良い教科書だけど、もっと手軽なのが良ければパフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学がおすすめ)から。