エンジニアの学び方:小崎さんインタビュー編のまとめ
「続・エンジニアの学び方 | サイボウズ式」連載の第2回〜第9回で小崎さんのインタビューを掲載しました。第9回で完結しましたので、ここでまとめて振り返ってみたいと思います。
実はこのインタビューは5月22日に行われたので、僕にはその後4ヶ月間学んだことを実践する時間がありました。それも加筆してあります。
第2回
毎日ちょっとでもやることが大事で、そのために「Google検索と同じ速度でソースコードが見られる」などの「最初の一歩を踏み出しやすくする仕組み」を用意しておくという話でした。
僕はBookscanで書籍を電子化していたのですけども、この話を聞くまではデータはクラウド上にあり「必要だと思った時にダウンロードする」という仕組みでした。この話を聞いてから、全データを手元に保管していつでも読めるようにし、さらに全部テキスト化して一つのフォルダに入れて手軽に横断検索ができるようにしました。これ、かなり便利ですよ。
もう一点「挽回しようとすると腰が重くなるからやらない方がいい」というのも重要な指摘でした。
第4回
「やれ」と言われたことを言われた通りの方法でやるのではなく、自分で考えてよりよい方法でやって成功したことが、今の小崎さんにつながる重要な分岐点だったという話でした。
また、仕事だけだと苦しくなるので、複数のプロジェクトに関わって複線にすることが開発をエンジョイするために重要とのことでした。
第5回
わからないものをわからないまま使うのが苦手という性格と、ソースコードを読むことで中を見ることができるLinuxの仕事という環境が組み合わさって、今の小崎さんが形作られた来たという話でした。
また、とっかかりのない新しいものを学ぶときには、ある程度連続した時間をとって集中してそればかりをやる必要がある、という話でした。
第6回
集中力を鍛えるためにはまずはゲームなどの自分の好きなもので訓練すべき、最初から勉強や仕事で集中しようとするのは挫折するきっかけを増やしているだけ、という話でした。
また、その集中力でとにかくたくさんの本を手に取り、わからなくても気にせずに読み進めることが大事とのこと。そうやって「読んだことがある」状態にしておけば、後からつながる可能性が出てくるからです。
読む対象として大学の(学部の)教科書を選択するところはなるほどなと思いました。これを知ってから、自分の詳しくない分野を学ぶための本を探すときにどこかの大学で教科書のリストを公開してないかな〜と探すようになりました。
第7回
議論に対して積極的な組織と、消極的な組織の比較の話でした。議論に対して消極的な人に対しては議論をしない、議論に対して消極的な組織では表立って議論するのではなくインフォーマルな方法で疑問を伝える、と実践的な内容でした。
Linuxカーネルの開発コミュニティが議論に積極的な姿勢で上手く回っている理由は、実用主義であるがゆえに感情的な争いに発展しにくいからかも知れません。
第8回
インタビュー全体を通して、僕が一番感銘をうけたのがこの記事です。ついつい「継続は力だ、続けなきゃ」みたいなことを考えて「続けられない自分はなんてダメなんだ」と卑下してしまいがちです。それにバッサリと「継続を目標にするより、小さい目標にブレイクダウンするほうが前向き」と切り込まれて、目からウロコが落ちた気持ちでした。
第9回
教科書は自分のレベルにあわせてくれない、人間の講師はあわせてくれる、という話でした。また、疑問に思ったことにすぐ答えがほしい場合、相手が人間ならその場で質問できることも教科書にないメリットですね。僕はこの話を聞いてから英会話塾に通い始めました。
また、何かを学ぼうとしている人が、インプットの質を判断することは難しいので、アウトプットドリブンがよいとのこと。第3回や第8回を通じて「小さい単位での締め切りのあるアウトプット」の重要性が繰り返されてきましたが、やはりこれがこのインタビューを通じて一番大事なところだと思います。
次回予告
次回から、連載開始時に頂いた資格試験に関する質問への回答を2回に渡って連載し、その後、2人目のインタビュー企画が始まる予定です。このインタビューから学んだことはPyCon JP 2014の基調講演などで話したりもしました。小崎さんとは違うアプローチの話なので比較しながら読むと面白いかと思います。乞うご期待。