日本人なら必ず誤訳する英文

本屋で立ち読みしてて「英語を正しく理解しているかどうかを知るには訳してみるしかない。『英語を英語のまま理解する』とよく言われるが、それはあくまで最終目標であって、正しく日本語に訳せない文章は絶対に理解できていない。」ということが書いてあって、納得したので買ってきた。越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文

この本の著者はダヴィンチコードとか訳している人で、十数年英語を教えてきてて、みんながつまづくパターンを集めたらしくてかなり密度が高い。あと、自然言語って冗長性が高いからおおざっぱな理解で問題ないケースも多いんだよね。だから土台がシロアリに食われているのに気付けない。こういう本で「ああ、この英文はこうだろ?」と訳してみて「いや、それはよくある間違い」ってつっこまれないと自力で気付くのは難しい。

I bought the book, which I have not read yet.

これを間違えた。こんな一見簡単そうに見える文章なのに。つまりそれだけ基本的な部分に抜けがあるってことだよね。これを僕は「その本を買った。まだ読んだことのないやつを。」と訳した。間違い。

I bought the book. I have not read the book yet.

重要なポイントは前半の動詞が過去形なのに後半の動詞が現在完了形だという点。「(買った時点で)読んだことのない本を買った」ではなく「その本を買ったけど、(現在時点で)まだ読んでいない」になるわけだ。あと「本を買った」ではなく「その本を買った」になるのはa bookではなくthe bookだから。

もう一つ。

You should not buy new clothes because they are cheap.

直訳すると「あなたは新しい服を買うべきではない、それらは安いから」になるけど、なんで安いと買ってはダメなのか。そこで僕は「新しい服を買わない方がいいよ、だってそれ安っぽいもの」と訳したんだけど、ポイントはそこではなかった。

これは元の文からjustやonlyが省略されている。

You should not buy new clothes just because they are cheap.

英語としてはjustを省略しない方がわかりやすい文になる。でも実際問題として世の中の英語著者が全員わかりやすい文章を書いているかというとそうでもない。日本人がわかりやすい日本語を書いているかどうか考えてみれば自明。

こんな感じで単語自体は簡単なのに訳しづらかったり、訳せたつもりが勘違いしているような問題がゴロゴロしている。だてに十数年教えてないね。わからなかった問題をここに書いて解説を書いていくと本の半分以上が転載されてしまうのでこの辺でやめておく。


> id:kits 「just because の文の意味が気になる。」

「安いからといって新しい服を買うべきじゃない」


追記:「大丈夫だった!」という発言が散見されるけど、僕がまだ基礎編までしか読み進めていないという理由で上に載せている例文はこの本の一番難しい問題ではないので誤解なさらないよう。あくまで基礎編だから。

難問編の最初の問題

They routinely write checks of ten twenty a hundred thousand dollars.

正解率10%。実際にとある小説から引用したものらしい。

今まで色々英語の本を買ってきたけど、これはかなりいい買い物だったと思っている。